『ハリー・ポッターの世界から学ぶ』シリーズ:ハウス制度とは?(その4)
これまで3回に渡って、ハリー・ポッターの世界などで広く知られるようになった『ハウス制度』が実際のイギリスの学校でどのように導入されているのかをお伝えしてきました。今回からの3回は、『ハウス制度』がもたらす効果についてお話します。
競争意識と一体感
ハウスポイントを稼ぐには、いろいろな方法があります。個人であればテストで良い点を取る、計算が速くできるなど、またハウス同志であればハウス対抗サッカー大会や運動会で優勝するなど、数字や結果で評価しやすい方法がまずあります。ただ、ハウスポイントの獲得方法はそれだけではなく、数字や比較では表しにくいもの、例えば、親切な行い(泣いているお友達をなぐさめた)、積極的な行い(校外でゴミ拾いをした)、チャレンジ精神(きらいな野菜も残さず食べた)などもハウスポイントをもらえる対象となっています。
また、学校によっては集会などで定期的に「表彰式」が行われ、そこでは「算数チャンピオン」、「外国語チャンピオン」、「運動チャンピオン」などのいくつかに項目に分かれてチャンピオンが表彰されます。実はこのチャンピオンには2種類あって、その項目において優れた結果を出した子どもが一人、それから結果にはとらわれず最も飛躍的に上達した・一番努力をしたというプロセスが際立った子どもが一人、それぞれ2名がチャンピオンの称号を手にすることができるのです。そしてチャンピオンには賞状とともにハウスポイントが与えられます。
その選考手順にも子ども達が参加できるようになっていて、自分たちの中で誰がチャンピオンとしてふさわしいか、子ども達自身がみんなで候補者を選びます。そして最終的には各代表者が競い合って真のチャンピオンが決まるという仕組みになっているのです。
結果だけでなくプロセスも重視するこの方法で、子ども達みんなにチャンスが与えられ、みんなが積極的に参加できるものになっているのが分かりますね。自分の獲得したポイントが、みんなの為に・ハウスの為に貢献できるという達成感は、良い意味での競争意識を促し、切磋琢磨する環境を整え、『ハウス』という意識で一体感を生み出すことができるのです。
中学校にもなると各ハウスで決めたイベントやチャリティー活動なども積極的に行われます。他のハウスにはない自分らしさを探し、表現し、そして何かへ貢献する、そういった活動を通じて社会貢献にまでつなげていきます。
さて次回は、『ハウス制度』がもたらす社会性の発達への効果についてお話したいと思います。
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